セリフを決める
ある時からとにかく仕事辞めたい!と思い続けていた。
顔が死んでいたと思う。
苦労して建築士の資格を取得したにも関わらず、全然仕事に活かせない。というか活かし方もわかからなかった。
最近は朝から腹が痛い。
妻に腹が痛い相談する日が続いていた。
自分は「そんなに辛いならもう仕事辞めれば?」
の一言を待っていたのだが、妻は最後までその言葉をいうことはなかったのだ。
全部わかっていたから。
仕事を辞めるということを人に提案してもらうことは、決められない人間として一生向かい合わなければいけないし。いつか私が「あの時辞めればっていったよね?」などと戯言の言わないようにしてくれたのだと思う。
そんな押し問答でもないような会話を続けながら、出勤の時間が近づき家を出る。
会社に行くと不思議と腹痛は治まっていた。
今から7年前に現在の住まいに妻と引っ越し暮らしているが、
引っ越したい理由がある。
妻は仕事を辞めたことを機に引っ越したい事、また動物(猫、犬、チャボ)を飼いたい事 隣の子供がうるさい事、多少は我慢できるが、多少を超えたうるささで妻は苦しそうだ。家の裏に住んでるおばちゃんは朝6時に民謡の練習を始め(以下同文)隣家と距離が離れた方がよさそうだった。
自分は、今の家に不満はなかった。
しいて言うなら冬の風呂場が寒いこと。
個人的な理由は少ないが自分は妻の引っ越しの理由に乗っかり、それを機に仕事を辞めようと決意する。(こういう考えは良くない)
上司に「引っ越しするため退職します」というセリフだけは先に決めて、そこに向かって方法を考える日々が始まった。